キャンプ旅に行こう 1995年の北海道ツーリング旅日記です。
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1995年 北海道ツーリング

だいぶ前の事なので所々記憶が曖昧になってきており、他のツーレポより短編となっております。写真を1枚も撮っていない(と言うより、撮るだけの精神的余裕が無かった)ので文字ばっかりですが、こんな事もありましたって事で書いてみました。

前日談

当時でも10年落ちのカタナ3型を買った時、バイク乗りの職場の人から「何であんな古いバイクを買ったんだぁ?」と言われていた。

買った理由は至極簡単で、予算的都合だった。全日本トライアル選手権を見てから、セカンドバイクのTLM50をTLM200(中古)にステップアップする為にCB1000を下取りに出したのだ。当然資金が余るので、その金でカタナを買ったという訳。

今にして思えば、それがすべての始まりだったような気がする…。

ツーリング初日

荷掛フックの類がまったく無いカタナV型に苦労して荷物をくくりつけ、昼過ぎに自宅を出発。その時点ではこれから起こるトラブルを知る由も無く、早くも心は北海道へ行っていた。

夕方、直江津港フェリーターミナルに到着、午後10時ごろ乗船。ビールを飲みながら他のライダーとお喋りして過ごす。

2日目

夕方、定刻通りに岩内港に到着。フェリーから下船後、泊村の盃野営場へ向かう。ところが、すでに地面が見えない程(ちょっと大げさ?)にテントだらけ。仕方なく野宿できそうな所を探しつつ走っていたら、結局積丹半島を横断して古平町まで来てしまった。

古平川にかかる橋の上から下を覗くと、川原に何張りかテントが見える。すでに暗くなってきていたので今日のキャンプ地をここと決め、川原に降りてテントを張る。

夕食を済ませ、イヤホンで野球中継を聞きながらしばらく横になっていたが、眠くなってきたので午後10時頃にシェラフにもぐりこんだ。ところが・・・。

隣のファミリーキャンパー(夫婦子供+夫の兄弟一人)が何やら大金がらみの怪しい話を始めたと思ったら、その支払いの事をめぐって兄弟で殴り合いのマジ喧嘩を始めた!(当然見てはいないが、声と音でいやでも全て分かってしまうのだ)

奥さんは「やめて〜」と泣き叫ぶわ、子供は大泣きを始めるわ…かっ、かっ、勘弁してくれぇっっっ!

流血沙汰の大喧嘩の後、結局そのファミリーキャンパーはテントを撤収して帰っていった。夜の12時頃に。

「やれ一安心。」改めて寝ようとしてうとうと始めたら、今度は少し離れた若造グループらしき一団がこれまたでかい声で「マ・ジ・カ・ル・バ・ナ・ナ!」と始めた。何とか寝ようとシェラフに頭までもぐりこむが、無駄な抵抗であった。結局それは午前2時過ぎまで続いた。

3日目

ほとんど眠れないまま朝を迎え、朝5時半頃空が明るくなってきたのを見計らって雨の中でテントの撤収を始める。水分を含んでしまっているテントを収納袋に押し込んでいたら、着ていたカッパの股間が「ビチビチッ」という音とともに裂けてしまった…。気分は最悪。

仕方なくガムテープで内側から応急処置し、6時過ぎに出発。

まず小樽に出て、札幌道に乗る。北海道に来てまで札幌のような都市部を走りたくないので、高速を使ってパスしようと思ったのだ。道央道・苫小牧東ICで降り料金所で止まった瞬間、いきなりエンスト。エンジンがかからないので料金を支払ってからバイクを押して料金所を出る。

セルを回してみると、「キュルッ」と一瞬回るだけで、明らかにバッテリー上がりの症状だ。「ひえ〜、何でだよぉ〜。」気分はブルーを通り越して真っ黒だ。

とりあえずお世話になっているバイクショップにTELして状況を説明すると、発電系統のトラブルらしくここでの応急処置はまず無理だろうとの事。ますます落ち込みつつ電話を切り、地元のショップに引き上げてもらうしかないかぁ〜、と考えている所へVツインマグナに乗った青年が「どうしました?」と声をかけてきた。

事情を説明すると、これから苫小牧市内に行くからバイクショップに連絡しますよ、との事。その言葉に甘えさせていただく。

待つ事30分、「オートショップ・タキヤ」のトラックがやってきた。カタナと荷物を荷台に乗せ、店へ向かう。電気周りを診断していただいたところ、「発電用コイル3本のうち1本が断線してますよ。カタナでも1100なら店の中古車と交換すればいいんだけど、この型はメーカーから取り寄せで1週間かかりますよ。」との事。

とても1週間も待っていられないので、店の人と話し合って「バイク本体のバッテリーを充電し、バッテリーが上がったらスペアバッテリーとブースターケーブルでエンジンをかけて走る」という事にした。MFバッテリーを購入し、その日はルートイン苫小牧に泊まった。

声をかけてくださったミウラさん、それからバイクを見てくださった上に割引料金でホテルを手配してくださったオートショップ・タキヤの皆さん、本当にありがとうございました。感謝しています。

4日目

朝9時半、バイクを受け取りにいく。ショップの方に御礼を言い、10時頃出発した。

バイクがこんな状態では予定ルート(知床方面)をこなすのは当然無理なので、とにかく自宅まで帰りつくことだけを考えて走る。なるべく電気を節約する為に、トンネル以外ライトは付けない・エンジンブレーキを多用・ウィンカーは必要最低限しか使わない等々。節電走行などしたこと無いので精神的に疲れる。

支笏湖・倶知安を経由し、午後2時頃岩内町の雷電野営場に到着、テントを張る。夕食後、疲れた体を休めるために8時過ぎに早々とシェラフにもぐりこんだ。

この頃から南風が強くなってきた。そして午後9時過ぎ、突風が吹いたと思った瞬間テントが思いっきり風で変形! テントの体積が半分になる程の強風だった。慌てて内側から押して元に戻す。強風が止むまでずっとその体制を保つことに…。安物テントはやっぱりダメだということを、体で思い知ることになってしまった。

5日目

朝9時過ぎに目がさめた。ツーリング先でこんなに目覚めが遅いのは初めてだ。それだけ疲れがたまっているということだろう。

今日は岩内発直江津行きのフェリーが出る日のはず。予約を変更して今日乗れるようにしなくては。10時過ぎ、のろのろとテントを撤収、岩内港へ向かう。…が、時間が早すぎて受付カウンターには照明すらついていなかった。

仕方なく岩内市街地の道の駅に行き近くの食堂で昼食を取り、散歩して時間をつぶす。午後3時前にフェリーターミナルに戻ると受付の照明がついていたので速攻で手続きを済ませる。

さすがにもう動きたくなくなりバイクの横で一服つけていると、荷物満載の一台のハーレーが。石川県在住のT氏という方で、なぜかすっかり意気投合してしまい、帰りのフェリー内でもバイク&旅談義。今回のトラブルだらけのツーリングの中で一番楽しい時間を過ごした。

6日目

バイクが夜走れる状態ではないので、直江津港近くに宿を確保しなくてはならない。直江津港周辺のホテルの案内図をもらい、電話をかける。一件目…満室でダメ。二件目…やっぱり満室でダメ。三件目…OK! とりあえず今日のところは一安心。

それにしても、フェリーから電話をかけるとテレカの度数が瞬く間に減っていく。500度数のテレカを買ったにもかかわらず、宿の予約が取れたときには残り3〜4度数であった。

夕方、定刻通りに直江津港に到着。他のみんながエンジンをかける中、T氏のハーレーのエンジンがなかなか始動できない。とりあえず先に降りてしばらく待つが、いっこうに降りてこない。明るいうちにホテルへ行かねばならない私は心配しつつホテルへ向かった。

7日目

ホテルを出発後、国道18号・長野道を南下する。とにかく半端ではない暑さで、たまらず梓川SAに飛び込む。水分補給&一服後、エンジンをかけようとしたら、セルが回らない。ついにバッテリーが上がってしまったようだ。仕方が無いので荷物を全部降ろし、シート下のバッテリーとスペアバッテリーをブースターケーブルでつなぎ、エンジン始動。また荷物を積みなおして出発。

ところが本線に入ってすぐ、松本市街地あたりでロープが緩み荷崩れの危機が! 路側帯で再度荷物を縛り上げていたら、その間にエンジンが止まっていた(T_T) 炎天下でまたまた荷物を降ろし、シートを外し・・・。通過する車からの視線を感じつつ、黙々と作業するしかなかった。とほほほ・・・。

さらに1時間ほど走った後某PAに入り、バイクを止めて足をついた瞬間、暑さと疲労で意識朦朧とし立ちゴケをぶちかましてしまった。荷物が飛び散り、当然エンジンは止まってしまった。

午後3時頃、自宅に到着。何とかバイクと一緒に戻って来れた。早速エアコンを全開にし、オーバーヒートした体をひたすらクールダウンしたのは言うまでもない。

このツーリングの総走行距離は約800km、かかった費用は約11万円…。これほど燃費ならぬ金費(?)の悪いツーリングは初体験でした。ちなみにこの時の地元の最高気温は36℃でした。

後日談

この事を知り合いに話したら、全員が異口同音に「それは当時のスズキ車の持病だ。」と言われた。それを知らずに買った自分にも少しは責任があるのかな? それから後日T氏から葉書が届き、船員にバイクを押してもらってエンジンをかけたとの事だった。何か心に引っかかっていたものが取れたような気がした。

数ヶ月後、近場の林道で雪中走行を楽しんで自宅へ帰ってきたら、テレビでトンネルの崩落事故を報道していた。「どっかで見たような景色だなぁ。場所は…えっっっ!!!豊浜トンネルぅ?」

そう、古平町から小樽へ向かう途中に通ったトンネルなのでした。

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