キャンプ旅に行こう 国道361号線旧道・権兵衛街道区間の探訪記です。
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国道361号線旧道 権兵衛街道探訪

はじめに

権兵衛街道について

権兵衛街道とは伊那谷と木曽谷を結ぶ街道の事で、古来から存在はしていた。しかしそれは人が荷物を背負って歩く程度の、険阻な道だった。現在の権兵衛峠も、鍋懸峠もしくは小沢峠と呼ばれていた。ここに人馬を通す道が開削されたのは、元禄9年(1696)の事。当時の中山道は交通量増大により各宿とも人手と物資が不足していた為、それを解決する為に工事が行われたのである。

主に木曽側の主導で始まったのであるが、その際に大きな働きをしたのが木曽谷の神谷に住む古畑権兵衛という牛行司であった。彼は伊那谷側の了解を取るのに尽力し、工事にあたっては率先して作業に参加したと言う。

街道開削後は、伊那谷の豊富な米がこの街道を通って木曽谷に運ばれ、「米の道」とも呼ばれている。また、双方の生産物や文化の交流もこの街道によって行われた。しかし、この街道の開削によって中仙道に大名が通る度に不足する人馬は伊那谷から「助郷」という制度によって駆り出され、伊那谷の人々は苦しんだと言われている。(これを予想していた伊那谷側は、当初は街道開削に反対していた)

その後鍋懸峠はいつしか権兵衛峠と呼ばれるようになり、街道も権兵衛街道と呼ばれるようになった。ただし公称として使用されるようになったのは、土木関連の法令が整備された明治以降である。個人名が街道の名前になった珍しいケースでもある。

しかし、鉄道が開通した後は権兵衛街道の交通量も激減し、大正以降はごく僅かの交通量しかなくなってしまった。

国道361号線について

国道361号線は、高山市を起点とし伊那市の国道153号線との交点を終点とする総延長105.8kmの国道として昭和50年(1975)に国道に指定された。そして後に下伊那郡高遠町、現在の伊那市高遠の国道152号線との交点まで延長された。

この時木曽谷〜伊那谷間で国道361号線として指定されたのは、姥神峠と権兵衛峠という二つの峠があり、徒歩でしか通行できない登山道と化していた権兵衛街道であった。従ってこの区間は、当然ながら自動車の通行は不可能であった。

そこで、戦後に開削された経ヶ岳林道を暫定的に国道361号線として整備を進め、昭和59年(1984)に一旦整備が完了、木曽谷〜伊那谷間の自動車の通行がかろうじて可能になり、正式に国道361号線となった。しかし整備したとは言っても自動車の離合ができない狭い区間が多く、元々林道だった為に急カーブや急坂も多く大型車の通行は不可能、しかも冬季閉鎖という状態であった。

また、権兵衛街道の二つの峠のうち西側の姥神峠区間はこの時点でも自動車通行不能で、国道361号線のこの区間は、奈良井ダムの横を通る県道493号線経由で鳥居トンネルの北東側抗口付近で国道19号線に接続する、という状態であった。その為しばらくの間地図上でのこの区間は、国道でありながら両端が他の国道と接続していない、という特異な状態になった。

その後、平成8年(1996)に伊那木曽連絡道路が着工、平成14年(2002)に姥神峠の下を通る姥神トンネルが開通、平成18年に権兵衛トンネルが開通し、大型車を含めた通年通行が可能となった。この区間は高規格道路となっており、登り勾配区間では登坂車線が設けられ所々に広い駐車帯も設置され、現在は非常に快適な通行が可能である。

ただし、現時点(2009年)において国道19号線側の端部(神谷IC〜国道19号間)がまだ建設されておらず、工事が止まっている状態である。しかし従来からの国道361号線が拡幅整備された為、特に支障にはなっていない。

なお国道361号線伊那木曽連絡道路は、大型車の通行量が多く事実上迂回路の無い国道19号線木曽谷区間が、事故や災害で不通になった場合の迂回路としての役割も担っている。また開通により木曽谷・伊那谷の医療面と雇用面での改善効果があり、そして観光客も増加した。更に宅配便も配送センターが従来の松本から伊那になり、木曽地域における宅配便の利便性も向上といった効果が認められている。

国道361号線旧道

以上のような経緯があるため、国道361号線旧道は複数の区間が存在しているのが特徴。
  • 経ヶ岳林道区間(暫定指定区間で、R361旧道としてよく紹介される区間)
  • 権兵衛峠〜姥神峠区間(経ヶ岳林道から木曽側に続いている区間で、ここもよく紹介される)
  • 権兵衛峠の伊那側区間
  • 姥神峠の木曽側区間
ちなみに権兵衛街道は伊那木曽連絡道路が開通した現在でも、旧道は国道指定を外されていない区間が多いようだ。国土地理院の地形図上でも、点線(登山道)区間も点線に沿って国道と同じ薄茶色が重ねられており、国道361号線を示す「(361)」の文字が入っている。ちなみに、管理人の車のカーナビも旧道は国道色で表示される。

経ヶ岳林道区間も同様だが、林道が災害によって崩壊し2009年現在復旧工事中。資料によると将来的には国道指定を外される予定だが、復旧工事により手続きが順延になっているようである。現在の詳細は分からないが・・・。それから姥神峠超えの区間は、現在は国道指定を外されている。

参考書籍等
  • 一草舎 市制50周年記念出版 ふるさと発見・伊那市の歴史
  • 新葉社 伊那市ふるさと百科
  • その他関連Webサイト

・権兵衛街道とR361について
権兵衛峠 伊那側
暫定指定区間 伊那側
権兵衛峠〜姥神峠 1
権兵衛峠〜姥神峠 2
権兵衛峠〜姥神峠 3
姥神峠木曽側&その他



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権兵衛峠 伊那側
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