フェリー利用時
(左写真:新潟港フェリーターミナルにて)フェリーは人や車両用の乗降タラップの開け閉めや錨の上げ下ろし等で出航に手間と時間がかかる為、電車やバスと違って出航間際にフェリーターミナルに到着しても乗船できません。
フェリーを使う場合の注意点などをまとめてみました。
乗船前
フェリーターミナルには遅くとも出航90分前(1時間半前)には到着し、すぐに手続きを済ませましょう。上に書いた通りでフェリーは出港に手間がかかるので直前に港に着いても乗れません。バスや電車と違って、船は乗船口や車両甲板出入り口を気軽に開け閉めできないのをお忘れなく。北海道航路の場合は夏を始めとして長期連休のシーズンは非常に混みますので、乗客が受付カウンター前に長蛇の列となり乗船手続き自体に非常に時間がかかる場合があります。以前と違ってネット予約後に乗船券を自分でプリントアウトできるようになっている(新日本海フェリーの場合)ので、以前ほどの混雑ではないと思いますが……。
手続き終了後は乗船までの時間を少々持て余すと思いますが、乗り遅れるよりはマシです。乗船手続きが余りにも遅くなると、キャンセル扱いになってしまいます。その場合のキャンセル料は、運賃の100%(つまり全額)になります。
乗船時
乗船開始はフェリー会社や使用船舶・混雑具合等によって若干差はありますが、出航45分前〜1時間前位から始まります。乗船手続き後は待合室や自分のバイクの近くで待つ場合が多いと思いますが、案内の放送があったら速やかに自分のバイクの置いてある場所に戻り、乗船準備しましょう。係員がチケットのチェックを行った後に乗船になりますので、誘導指示に従って乗船します。なお車種(二輪・四輪・トラック等)による乗船順はフェリーによって違います。
また、ターミナルの埠頭・駐車場からフェリー内車両甲板までほとんどの場合は鉄製のスロープを登っていかねばなりませんが、徐行するように指示が出ると思いますのでゆっくり車両甲板に入りましょう。雨が降っていたりする場合は非常に滑りやすいので注意。
乗船後、指示された位置にバイクを止めたら必ずギヤをローに入れてハンドルロック、スクーターの場合はパーキングブレーキをかけてハンドルロックしておきましょう。バイクの固定作業自体は係員がやってくれます。
荷物を降ろすかどうかはフェリー会社や航路によって異なると思いますが、海が荒れている場合はほぼ間違いなく荷物を降ろすように指示されます。指示を無視して万が一バイクが倒れたら、大事(おおごと)です。他のバイク・車に傷をつけたら損害賠償間違いなし。面倒くさがらずに荷物を降ろしましょう。ちなみに新日本海フェリーの場合は必ず荷物を降ろすように指示されます。
航行中はバイクが止めてある車両甲板には入れません。貴重品や洗面道具その他必要と思われる物を持って部屋に行き、ヘルメットやグローブ等必要の無い物は車両甲板に置いていきましょう。フェリー内で使わない荷物を持って行っても邪魔になるだけですし運ぶのも面倒、部屋を共有する二等室や二等寝台では盗難のリスクが増えるだけです。
持ち物の着替えのうち船内での着替えだけ別にしておくと、余分の着替えを船内に持ち込まなくて済むので楽です。
それから以前は二等寝台でもスリッパがあったのですが、ここ数年コストダウンの為か備え付けされなくなり、スリッパは一等室以上だけになりました。二等室や二等寝台を利用する場合はスリッパやサンダルを持参すると船内を動き回るのに楽です。船内売店でスリッパを販売している場合もあります。
乗船中
バイクが一番最初に乗船するフェリーの場合、部屋に入ったらすぐに風呂へ直行しましょう。車の乗客が乗りこむ前ならゆっくり入れます。船酔いしやすい方は酔い止めの薬も忘れないように。そして航行中は基本的に退屈です。ひたすら寝るなり他のライダーと話すなり上陸後のルート検討をするなり、各自工夫してください。またフェリー内のレストランでは価格が少し高めなので食費を抑えたい方は食料や酒は乗船前に買い込んでおくのがおすすめです。
なお二等室や二等寝台を利用する場合は、安眠の為に耳栓を持って行ったほうが良いかと。イビキをかく人はどこにでもおられますので……。逆に自分がイビキをかくと自覚しておられる方、また他人からイビキをかくと指摘されている方は、イビキ防止グッズを使うか寝る前の飲酒を避ける、横向きに寝る等の対応をしましょう。
到着前には案内の船内放送があります。案内があったら荷物をまとめ、いつでも車両甲板に下りられるように準備しましょう。 特にお盆などの繁忙期は車両甲板に降りる通路に乗客が殺到して非常に混雑するので、荷物を大量に船内に持ち込んでいるとこの時に後悔することになります。
下船時
荷物を降ろしている場合、速やかにパッキングしましょう。なお、エンジンは下船直前までかけないように(特に2スト)。車両デッキに排ガスが充満してしまいます。最近は車も下船直前までエンジンを掛けずにいる場合が多いです。バイク下船の指示が出たら、はやる気持ちを抑えて係員の指示に従って下船しましょう。雨天の場合はスロープが大変滑りやすいので、エンジンブレーキを使いながら最徐行で慎重に降りていきましょう。
各フェリー会社へのリンク
フェリーの等級別船室
フェリーの船室は等級別に分かれていますが、各等級別にメリット・デメリットを紹介します。等級名と内容は新日本海フェリーの場合で書いてあります。他のフェリーは殆ど使ったことがないもので(汗)ツーリストJ(二等和室)
カーペット敷きの、俗にいう「雑魚寝部屋」です。新日本海フェリーの場合は枕と毛布が用意されていますが、それ以外の備品は無し。船室が複数ある場合は部屋自体は指定されると思いますが、部屋内での場所は先着順で好きな場所を選びます(早い者勝ちとも言いますが)。メリットは
- 安い。
- 他の乗客とコミュニケーションを取りやすい。
- プライバシー確保はまず無理。
- 船室に持ち込んだ荷物が多いと、置き場所に困る。
- キャンプ用マットなどを敷かないと寝心地が悪い。
- 他の乗客などの話し声やイビキで寝られない場合がある。
- 自分の場所を長時間離れると、他の乗客に自分の寝場所を侵食されてしまうことがある。
- コンセントが無い。
ツーリストB(二等寝台)
※左写真は今はなき東日本フェリーの二等寝台室ですが、新日本海フェリーもほぼ同じ構造です。二等寝台は場所を指定されるので二等和室のような場所取り競争はありませんし、使っている方も多いのではないでしょうか。
狭いながらも自分専用のスペースが確保できるというのは、二等和室に比べて大きな利点です。かなり前に撮った写真なのでスリッパが写っていますが、今は備品にスリッパはありません。
メリットは
- 自分専用のスペースが得られるので、気軽に場所を離れられる。
- 各寝台にカーテンがあるので、他人の視線を気にせず寝られる。
- 二等和室に比べて荷物棚が広め。
- 部屋自体は他の乗客と共用なので、話し声やイビキが気になりやすい。
- 部屋は空調されているが、カーテンを閉めると寝台内部が自分の体温と体から出る湿気で蒸し暑くなる。特に飲酒後は顕著です。
- 寝台の高さが無いので、着替えがしにくい。
- コンセントが無い。
ツーリストS(準個室寝台)
見にくい写真ですみません。二等寝台でもこちらは一段のベッドで、それぞれの寝台が一つの部屋になっているタイプです。当然ながら二段ベッドの部屋よりも料金は少し高くなります。
出入り口はドアではなくカーテンなので完全な個室ではありませんが、ベッド横は通路ではなく完全に自分専用スペースですので、二段ベッドよりゆったりと使えるのが特徴です。ただし、この部屋も備品にスリッパはありませんので各自で用意するか売店で購入しましょう。
メリットはツーリストBに加えて
- 荷物の置き場所に困ることはまず無い。
- 着替えも立ってできる。
- 二段ベッドと同じで、中が蒸し暑くなりやすい。
- コンセントが無い。
- すべての船にあるわけではない。
以前の九州ツーリング時には、神戸〜新門司間のフェリーでも同じように個室寝台を利用しました。二段ベッドの上段と下段を左右に分けて個室化した構造になっていて、やや狭いながらも使いやすかったです。
ステートB洋室(一等洋室)
一等室になると、完全に個室になります。同時に部屋の定員も最低でも二人からになるので、一人旅ではかなりの贅沢という事にもなります。その分設備や備品も二等室よりかなり良くなって快適さは段違いです。設備はユニットバスが無いだけでテレビ・洗面台・衣類用ロッカーがあり、ちょっとしたビジネスホテルのような感じです。空調と洗面台以外の照明もベッド脇のスイッチで操作できますし、ベッド幅はちょいと狭いですが二等寝台に比べたらずっと快適です。
なお、この二人部屋の他に二段ベッドが2つある四人部屋もあります。
メリットは
- 空調が独立しているので、他の乗客に気兼ねなく好みの温度に自由に調整可能。
- コンセントがあるのでスマホや携帯を自由に充電できる。
- 備品もスリッパ・タオル・歯ブラシ・お茶セット・浴衣(各二人分)・石鹸・ティッシュ・ポットと格段に増える。
- 二等室より静かなので、ぐっすり眠れる。寝具も二等寝台よりグレードアップする。
- 個室なので鍵をかけられ、セキュリティ上も安心できる。
- 料金がそれなりに高くなってしまう。
- お盆などの繁忙期に一人で使う場合、料金とは別に占有料金が必要になる。
- 特等や一等など上級室から予約が埋まっていくことが多いので、早めの予約が必要になる。
- トイレがないので、トイレから遠い部屋の場合は少し不便。
- 新日本海フェリーの場合は一等洋室二人部屋は基本的にインサイド(船の内側)にあるので、窓から海は見えません。管理人は全く気にしませんが。(四人部屋なら見えます)
ステートB和室(一等和室)
こちらも一等室ですが和室。洋室と料金は同じなので、どんなものかと思い2016年の北海道ドライブの往路で使ってみました。設備と備品は基本的に洋室と同じですが、違う点もあります。
- 洋室は椅子(背もたれのあるものと無いものが一つづつ)だが、和室の場合は座椅子。
- 空調の設定スイッチは照明とは別にある。
- 部屋自体の広さは洋室と同じだが、靴を脱ぐスペースと空調吹き出し口を兼ねた棚と押し入れ(もちろん寝具が入っている)がある分、部屋が若干狭く感じる。
- カーテンが無い代わりに、障子と窓の間に遮光用の襖がある。
メリット
- 靴やスリッパを脱いで寛ぎたい方にはこちらが良い。
- ステートB 和室はアウトサイドになるので、障子を開ければ海が見える。
- 詰めれば3人で利用可能(予約時に了承する必要あり)。寝具も3人分あります。
- 布団と言っても薄いマットレスにタオルケットを敷いたものなので、寝心地はベッドより悪い。
- 窓の外は共有デッキなので、海は見えるけど障子を開けておくとデッキから室内が丸見え。これは他の一等アウトサイドルームも同じ。
- 3人で利用する場合は、テーブルと座椅子を片付けないと布団が敷けない。
船室は新日本海フェリーの場合で紹介しましたが、他のフェリーの場合はまた違ってくると思います。確かに等級が上がれば快適度は増しますが予算との兼ね合いもありますし、各フェリー会社のサイト等も参考にして、船室を選ぶ時の参考にしてみてください。
ちなみに特等室(デラックスルーム)やスイートルームは管理人も利用したことがないので、ここでは紹介できません。