キャンプ旅に行こう 出発前のバイクメンテナンス項目について掲載しています。
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出発前のバイク整備・2

出発前のバイク整備・1

項目3・「しゃ」(タイヤ)

タイヤは一番先に点検するほうがいいでしょう。車種によってはサイズや銘柄の関係で入荷に時間がかかったりする場合があるからです。

点検項目は、まず磨耗具合。スリップサインが出そうになっていたら即刻交換です。また、前回交換から何年もたっていて、トレッド面(接地面)や側面に細かい亀裂が入っている場合も交換したほうがいいでしょう。そういうタイヤの場合ゴム自体が硬くなって、しなやかさが無くなっているからです。

スリップサインによる判断は、タイヤ側面に「△」マークが入っている所をタイヤの回転方向と直角に辿っていくと、溝が浅くなっている所がありますので、そこで判断します。スリップサインが一ヶ所でもタイヤ表面に出てきたら、法的にも交換しなくてはなりません。二輪車の場合は0.8mmですが、普段でもそこまで行く前に交換しましょう。

次にチェックするのは、タイヤの外周に釘など異物が刺さっていないかどうかチェックしましょう。チューブタイヤの場合は釘や針金が刺さると空気が一気に抜けるのですぐわかるのですが、チューブレスタイヤやパンク防止剤を注入している場合、すぐに空気が抜けてしまわないので気が付いていない場合があります。

万が一何か刺さっていた場合は、チューブレスタイヤの場合はタイヤ自体を交換するのが無難です(詰め物をして修理するのはあくまで応急処置です)。

ただ溝が十分残っているタイヤの場合、異物が刺さっていても内側まで届いていなくて空気漏れしていない場合があります。空気が漏れていなければとりあえずは大丈夫です。確認方法は刺さっていた場所に石鹸水をたっぷりと付けてみて泡が出るかどうか、で確認できます。心配な方はバイク屋さんでチェックしてもらいましょう。

次に空気圧。指定空気圧は取扱説明書に書かれていますし空気圧やタイヤ銘柄の書かれたシールが車体に貼ってあるはず(チェーンカバーとか)なので、それを見て調整しましょう。自分でやってもいいですし、ガソリンスタンドやバイクショップで調整してもらってもかまいません。

また、ホイールバランスを取っておいたほうが良いでしょう(特に前輪)。ウェイトを付けることでバランスを取っていますが、ウェイトが知らないうちに取れてしまっていることもあります。バランス取り作業自体はバイクショップでやっていただくことになります。

項目4・「ち」(チェーン)

チェーンはまず伸び具合をチェック。前後のスプロケット(歯車)の中間地点での上下のたわみ量で判断するわけですが、規定値に調整しましょう。チェーン全体が一様に伸びるわけではないので、タイヤを回転させながら何ヶ所かチェックしましょう。伸びが進行しているようだったら要交換です。

また、スプロケットの磨耗具合も同時にチェックし、歯が磨耗して尖がっている場合はドライブスプロケット(エンジン側)とドリブンスプロケット(ホイール側)をセットで交換。この時、チェーンも一緒に交換しましょう。この場合少々高くついてしまいますが、チェーンが切れたり外れたりした場合怪我や事故になりかねないので、それを考えたら結局安上がりです。

’99の北海道ツーリングの時も伸びたチェーンで走行中、チェーンが外れて危うく転倒しそうになった上にチェーンがスプロケットとスイングアームの間に挟まって取れなくなり、リヤホイールが回らなくなって走行どころか移動不能になってしまった方がいます。

当然、出発前にはきちんとチェーンルブ(チェーンオイル)が給油されている状態にしておきましょう。また、ツーリング中も状態を見て時々給油しましょう(特に雨後)。ドライタイプ(塗布後に乾いた感じになる)のチェーンルブが飛び散りが少ないのでおすすめ。オフ車で林道などの走行が多い場合は飛び散りが少々多くなりますがウェットタイプ(塗布後も濡れた感じのままになるもの)が良いようです。

チェーンルブの代わりに粘度の高いギヤオイルまたはエンジンオイルを塗布する、という方法もあります。これはチェーンを綺麗に維持しやすいという長所がある反面、耐久性は専用チェーンルブより劣りますので、こまめに塗布する必要があります。ロングツーリングの場合はチェーンルブのほうがおすすめです。

余談ですが、チェーンの給油は走行直後にするのが効果的です。走行直後はチェーンが熱を持っているので、給油したチェーンルブが柔らかくなって細部に浸透しやすいからです。ただし、付け過ぎは注意。余りに多いと走行中に周囲に飛び散って、汚れるだけなら良いのですがリヤタイヤの接地面に付着した場合はスリップ・転倒の原因になりかねません。

なお、シャフトドライブ車はツーリング中にデフオイルの交換時期が来るようだったら事前に交換しましょう。スクーターの場合は、ツーリング中にベルトの交換時期が来ないように注意。交換時期が近いようだったら、新品に交換しておいたほうが良いでしょう。

項目5・「え」(エンジン)

エンジンからのオイル漏れの有無を始動前後でチェック。エンジン始動後はエンジンからの異音の有無もチェックしておきましょう。

なお、距離を走る予定の場合は点火プラグも交換しておくのが良いでしょう。バイクは車より常用回転数が高い為、点火プラグの消耗が早くなります。

項目6・「ぶ」ブレーキ

ブレーキの点検は必ずやっておきましょう。エンジンは壊れても基本的に走れなくなるだけですが、ブレーキが壊れたら即命にかかわります。ブレーキ整備は整備士が行うのが基本ですのでバイクショップで整備してもらったほうが良いでしょう。

ディスクブレーキの場合は、まずパッドの残量をチェック。大抵のパッドの場合、溝が入っていてその溝の残りの量で判断します。溝が無い、又は残り少ないようだったら交換です。

ディスクブレーキの場合はハンドル(前輪)及び車体(後輪)のリザーバータンクのブレーキ液の量でもパッド残量が判断できます。ブレーキ液は漏れていない限り基本的に減らないので、パッドが減ってキャリパーのピストン内に多くのブレーキ液がある状態だと、必然的にリザーバータンク側の量が減る……というわけです。

もし目視でパッド厚が十分にあるのにブレーキ液が減っている場合は、どこかから漏れている事が考えられますので、すぐに修理しましょう。

ドラムブレーキの場合、ドラム内部のカムを動かすレバー部のアジャスターの調整具合で判断するわけですが、レバーの遊びを調整後ブレーキをかけた状態でドラム側の印とレバー側の印が重なったら、それ以上の調整は不可です。ブレーキシューが限界まで磨耗しているので即シューの交換です。

次にブレーキレバーの遊びですが、油圧式ディスクの場合基本的に調整できないので、ワイヤー式ドラムブレーキ車に限った点検項目になります。遊びの量が大きい場合はブレーキドラム側面のレバー部のアジャスターを締めこんで調整します。遊びの量はメーカーの指示に従いましょう。無い場合は一般的に10mm〜20mmが目安になりますが、レバーを握りこむとグリップに当たる……と言うのは問題ですので、そうならないように調整しておきましょう。

またブレーキレバーの遊びを極端に少なくすると、ハンドルを右又は左に一杯に切った時にワイヤーが引っ張られてフロントブレーキを引きずってしまう事がありますので注意しましょう。リヤブレーキにしても同様で、リヤドラムブレーキの場合はスイングアームの位置によって遊びが変わりますので、適度に遊びを持たせましょう。

リヤドラムブレーキの場合はロッド(棒)によってブレーキシューを動かしますが、遊びの調整量によってはブレーキランプが付きっ放しになってしまう事があります。その場合、ブレーキペダルの付け根付近にブレーキランプを点灯させるスイッチが付いていると思いますので、踏んだら点灯するように調整しておきましょう。

車種によっては油圧式フロントディスクブレーキでもレバー本体に調整機構が付いていますが、これはレバーの開放位置の調整をするための物で、遊びの調整をするものではありません。お間違えの無いようにしてください。

項目7・「く」(クラッチ)

クラッチと言っても、基本的にやる事はクラッチレバーの遊びの調整だけです。また、ブレーキ同様油圧式クラッチの場合は調整できません。ワイヤー式のクラッチのみです。

調整方法は、クラッチワイヤーのレバー側の端(レバーとワイヤーの接続部分)とエンジン側の端にアジャスターが付いていますので、それで調整します。最初にエンジン側で大まかに調整し、レバー側で微調整を行います。

レバー側は円盤状のロックナットを緩めて円筒状のアジャスターを回して調整します。遊びの量はメーカーの指示がある場合はそれに従い、無い場合はレバーの端で10mm位にしましょう。なお走行直後など、クラッチシステム自体が熱を持っている場合は遊びが大きくなりますので、調整は出発前などエンジンが冷えている状態で行ってください。

調整時の注意事項はブレーキの場合とほぼ同じで、極端に遊びを少なくするとハンドルを左右どちらかに一杯に切った時にワイヤーが引っ張られて、クラッチが滑ってしまうことがあります。ブレーキ同様、適度に遊びを持たせましょう。

また、ブレーキレバー同様レバー自体に調整機能が付いている車種もありますが、これも開放位置の調整をするもので遊びを調整するものではありません。

項目8・「とう」(灯火類)

点検内容はお分かりと思いますが、まずヘッドライト・ブレーキランプ・スモールランプが点灯するかどうかをチェック。次にウィンカーが点滅するかどうかをチェックしましょう。バイクの場合はナンバー灯がテールランプと兼用の場合が多いですが、テールランプとナンバーの位置が離れている場合は、ナンバー灯も別にありますので点灯するかチェックしましょう。

バルブ(球)切れが心配な方は事前に交換しておくのが無難です。交換作業ができる方なら指定された規格のバルブを購入して工具とともに持参しましょう。バルブ類はホームセンターやカー用品店・バイクショップで購入できますが、ヘッドライト用バルブは「二輪車用」と書かれているものを購入するのが無難です。一般的なH4と呼ばれるハロゲンバルブなら四輪車用でも使えますが、車種によっては振動ですぐ切れたりする事があるそうです。

また、「高効率バルブ」(ノーマルバルブと同じ消費電力でより明るいバルブ)もありますので、交換時に試してみるのも良いでしょう。二輪車用高効率バルブはかなり割高ですが……。なお、ハロゲンバルブは素手で触らないように注意して交換作業をしてください。

項目9−1・「ば」(バッテリー)

バッテリーのチェックは、開放型の場合はまず電解液の量がアッパーレベルとロアレベルの間にある事を確認し、少なくなっていたら市販の蒸留水又は補充液をアッパーレベルまで注入します。MF(メンテナンスフリー)バッテリーの場合は、配線を止めているボルトが緩んでいないかどうかをチェックするだけでいいでしょう。

ただしMFバッテリーは文字通りのメンテナンスフリーとは限りません。本当にMFバッテリーと言えるのは、蒸留水・補充液の補充が構造的にできない密閉型バッテリーだけと言えるでしょう。見分け方は簡単で、バッテリー上面に補充用の丸い蓋があるか無いかです。蓋には硬貨などで回して外す為の+または−形状の溝があるのですぐ分かります。

最近、特に四輪用では「○○km保証」とか「○○年保証」等との謳い文句で売られていますが、密閉型以外は改良により電解液の減り方が少なくなって点検・補充の頻度が減らせる、と言った程度と考えておけば良いと思います。完全なメンテナンスフリーでは無い場合が多いです。ローメンテナンスタイプと言った方が良いかもしれません。

バッテリーの寿命は、使用環境にもよりますが約3年と考えてください。2年以上使っている場合は念の為に交換したほうがいいでしょう。これは開放型バッテリー・MF(タイプ)バッテリーとも同じです。

バイク用バッテリーもホームセンターで売っている場合が多いのですが、規格化された四輪用と違ってバイク用は種類が非常に多く、自分のバイクに合うバッテリーがあるとは限りません。バイクショップで注文しても取り寄せに時間がかかる場合もありますので、早めのチェック又は交換をしましょう。

そして、バイク用バッテリーの価格は四輪用と比較してかなり割高です。種類が多くて販売量が四輪用ほど見込めないので仕方が無いのですが……。

項目9−2・「ば」(バックミラー)

やる事は簡単で、鏡の汚れをふき取り、向きをチェックし、取り付け部が緩んでいたら増し締めするだけです。割れているのは論外で、即刻交換しましょう。

また、右側バックミラーは装着されていない場合や・破損している場合は法律(道路運送車両の保安基準44条)違反になります。左右共用のミラーが装着されていて右側が破損している場合、左側ミラーを右に移植しましょう。(ヤマハ車等左右でネジの回転方向が違う車種は除く)

項目10・「しめ」(各部ボルトの締まり具合)

チェック個所はいろいろありますが、やり方はボルトで取り付けられている個所を揺すってみて、ガタが無いかどうか・動いてしまわないか、で行います。

緩んでいたり脱落するとマズイ場所(ハンドル・ブレーキ・ナンバープレートなど)は、実際にドライバーやレンチで締まり具合を確認しましょう。

振動が多いバイクの場合、スプリングワッシャーを入れる・ダブルナットにする・緩み止め剤を使う等の対策をすれば万全でしょう。

項目11・その他

古いバイクの場合、電気系統もチェックしておいたほうが無難です。メーカー(あえて社名は出しません)によっては年式によりますが電気系統が新車段階から問題を抱えている場合があり、思い当たる方は事前にショップで点検整備しておきましょう。電気系統はメカニズム的なトラブルと違い、ほとんどの場合何の前兆も無く一気に壊れます。

最近の型でしたら国産車ならどのメーカーでも心配は無いでしょう。

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